どの銀行に住宅ローンを相談すべき?

元銀行員のつぶやき

自宅を購入しようとする知人からの質問の一つとして、

「どこの銀行に住宅ローンを相談すればいいかな?」

というものがあります。

 

それに対する私なりの回答は、下記です。

  • 給与振込口座(給料が入る口座)の銀行にまず相談しよう
  • そして必ず、別の銀行にも(最低でも1つ)相談しよう

 

給与振込口座の銀行にまず相談した方が良い理由は、

一言でいうと、有利な金利条件を引き出せる確率が高いから、です。

 

銀行が気にするのは、とにかく、この人にはちゃんと返済できる収入があるかどうか、に尽きます。

昨年の源泉徴収票は勿論見ますが、これはあくまでも去年の情報です。

もしかしたら、今年に入ってから年収下がってないかなぁ、ぐらいのことは、銀行員であれば、当たり前に疑います(笑)。

今の時代、年功序列で給料が上がっていく時代でも無いですしね。

私も銀行員時代、給与が他行に入っているお客さまから住宅ローン相談を受付した際には、「最近世の中不景気ですけど、お仕事は変わらずお忙しいですか?」等の会話をして、収入面に変化がないかどうか必ず探るようにしていました。

一方で、給与振込口座の銀行員であれば、口座履歴情報を見れば前月・前々月等の直近の収入が把握できます。

上記のような会話で直近の収入を探る必要もないので、銀行にとってこれほど審査に役立つ情報はありません。

 

また、給与振込口座の銀行から有利な金利を引き出しやすい理由として、「もしこの住宅ローンが他行に流れたら、給与振込を他行に変えられてしまうかも」という銀行員の心理もあります。

一般的に多くの方は、「給料を受け取っている銀行で、貯蓄もしている」と思います。意識して同じ銀行内で生活口座と積立口座に分けているケースもあれば、意識せずに生活口座の中で貯まっているケースあると思いますが、いずれにしても、良い金利を引き出せる可能性に繋がります。

このまま家計のメイン銀行として口座を使ってもらえれば、投資信託や年金受取等、学資ローン等の取引拡大のチャンスがあるので、銀行は、何としても今のメイン銀行の立場を守ろうとします。

もし住宅ローンが他行に流れてしまったら、給与振込は勿論、それ以外の取引もすべて他行に持っていかれてしまう可能性が出てしまうので、それを回避するために銀行員が頑張ってくれる、ということですね。

 

以上が、住宅ローンはまず「給与振込口座の銀行」に申し込んだ方が良い理由です。

 

 

 

次に、 別の銀行にも申し込んだ方が良い理由ですが、

これも、金利条件を天秤にかけることで、更に有利な金利条件を引き出せる可能性があるからです。

 

住宅ローンは、〇〇千万円と大きい金額ですが、もう数万円の家電と同じぐらいの気持ちで、ガンガン金利の引き下げを交渉しましょう(笑)。

 

上に書いたように、メイン銀行であれば、その立場を守るために、金利は頑張ると思います。

一方で、メインではない銀行は、メインの立場に奪うために、それはそれで金利を頑張ると思います。

 

銀行には、預貸率という指標があります(決算説明等で開示している指標です)。

預金残高に対して、どれぐらい融資残高があるか、というもので、地方銀行であれば、良くてもこの数字は70%程度です。

つまり、30%の預金が、融資に回せていない(余っている)、という状況です。

 

余った預金は、日銀に預けたり、国債を買ったりすることになりますが、ここで、いわゆるマイナス金利が銀行の痛手となります。

日銀に預けたら、むしろ銀行が損をしてしまいます。でも、国債の金利は低い。株式等へのリスク資産への投資も一部は可能ですが、規制も厳しい(公共性の高い銀行が投資で大損した、なんてことには出来ないのでは、金融庁が目を光らせています)。

なので、銀行は、融資を伸ばすしかないのが実情です。

 

最近の住宅ローンは、変動金利で1%を下回るのが当たり前です。10年ほど前であれば、1~2%台はあったので、銀行にとっては辛い時代だと思います。

ただ、住宅ローン金利が低いとは言っても、国債に比べれば、マシです(=銀行が儲かります)。だから、たとえ1%を下回る金利でも、銀行は住宅ローンを集めたいのです。

 

また、担当している銀行員の立場からすれば、上に書いたような預貸率云々等の大きなことはどうてもよくて(笑)、自身の目標達成のために少しでも融資の残高を伸ばしたいのが本音です。

皆さんが、「おたくで借りようと思ってたんだけど、〇〇銀行さんがもっと良い金利出してきてさ~。せめて同じ金利にしてくれれば、おたくで借りるから、もうちょっと金利頑張れないかな?もし無理なら、残念だけど、給与振込とか色々〇〇銀行さんに移さないといけなくなっちゃうな~」と言えば、きっとその担当は、もっと頑張ります(^^)

 

ということで、繰り返しになりますが、住宅ローンの金利引き下げ交渉はやって当然ぐらいの気持ちで、ガンガンやってみてください。

 

私の知人も、ハウスメーカーの方から勧められた銀行が、たまたま給与振込口座と同じ銀行だったので、そのまま借りようとしていました。ですが、途中で相談を受けた私が止めて、別の銀行にも相談するよう助言しました。最終的には当初予定していた銀行から借りましたが、別の銀行の金利を交渉材料にして、金利引き下げに成功しました。

今は、多くの銀行で、ネットから簡単に住宅ローンの事前審査を申請できます。住宅ローンの借入は(基本的には)一生に一度のことだと思いますので、是非、面倒がらずにやってみてください。

 

ちなみに、相談する銀行の順序が逆になっても問題ないと思います。

ハウスメーカーさんから給与振込口座以外の銀行を勧められて、そのままその銀行に相談した場合には、その後(あるいは並行して)、給与振込口座の銀行にも相談すれば良いと思います。

とにかくやることは同じ。両者を天秤にかけて、金利の引き下げ交渉です!(^^)! 

ただ、できれば給与振込口座は変えたくないと思うので(お勤め先によっては、変更できない場合もあると思います)、是非メイン銀行に頑張ってもらいましょう。

 

この記事が、少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。

 

<参考:0.5%と0.6%での総利息額シミュレーションの比較>

 前提条件:3000万円・35年・元利均等返済・ボーナス返済無し

 0.5%の場合:毎月返済額は元金+利息で@77,875円、35年間累計の総利息額は2,707,500円

 0.6%の場合:毎月返済額は元金+利息で@79,208円、35年間累計の総利息額は3,267,360円

 ⇒約55万円の差

コメント

タイトルとURLをコピーしました