本当にあった住宅ローンの怖い話 その1

元銀行員のつぶやき

今回は、銀行員時代に私が遭遇した、本当にあった住宅ローンの怖い話を紹介します。

シリーズとして、何回かに分けてご紹介できればと思っています。

 

第一回目として紹介するのは、

~つなぎ融資段階で婚約破棄、家を建てられなかった男性A~

です。

 

皆さんは、つなぎ融資、という言葉をご存じでしょうか?

注文住宅を新築したことがある方はご存じかもしれませんが、通常、ハウスメーカーと家を建てるときには、

家を建てる方とハウスメーカーの間で、「工事請負契約書」というものを契約します。

そして、この工事請負契約書の中には、工事の着工金として〇〇万円、中間金として〇〇万円、建物完成後に〇〇万円をハウスメーカーに払ってね、という内容が記載されています。

そうしないと、家を建てるための材料代金や職人さんへの支払費用を、すべてハウスメーカーが一時的に負担することになってしまいますからね。これは、新築工事における一般的な契約だと思います。

 

一方で、家を建てる方にとっては、着工金として(例えば2000万円の総工費としてその20%の)400万円を払うのは、そうそう容易なことではありません。

そういう場合に、銀行が、この着工金を融資します。これが、「つなぎ融資」と言われるものです。

つなぎ融資の返済期日は通常、家の完成日に設定します。そして、家の完成日に住宅ローンを実行して、つなぎ融資を返済してもらいます。

 

さて、簡単ですがつなぎ融資の説明が終わったところで、

今回の男性Aさんの事例をご紹介します。

皆さんはこうならないよう、気を付けてくださいね(^^)

 

男性Aさんは、女性Bさんと婚約しています。

そして、結婚後に住む家を建てようとしていました。

無事に銀行での住宅ローン審査も終わり、つなぎ融資を利用して、着工金として400万円をハウスメーカーに支払いました。

どんどん完成されていく家を見ながら、そこでBさんと暮らす姿を想像するのは、きっと幸せな時間だったと思います。

  

ところが、、、、

ある日突然、AさんはBさんから、婚約破棄を言い渡されてしまいます

実は、Aさんが家を建てている土地は、Aさんのお父さんの所有でした。そして、お父さんはこの土地の隣に住んでいます。

このお父さんは、自分の土地を提供するのだから口出しするのは当然だ、と思ったのかどうか、

AさんとBさんが住む家の間取りや内装・外装などに、かなり細かく意見をしていたそうです。

 

Aさんからすれば、土地を提供してくれる、しかも実の父からの意見です。なかなか、ぞんざいには扱えなかったんでしょうね、お父さんの意見の大部分を聞き入れたそうです。

 

Bさんも一応は納得していたらしいのですが、内心、ずっと嫌だったんでしょうね(そりゃそうだと思います)。

 

そして、とうとうある日、Bさんの感情が爆発してしまいます。

きっかけは、Aさんのお父さんが何気なく言った、「いつか、お互いの家の壁をぶち抜けば、二世帯住宅にできるな~」だったそうです。

 

Aさんのお父さんがどこまで本気だったのかは分かりません。

でも、Bさんは遂にこれで我慢ができなくなったようです。

「こんな家に、私は住みたくない!」とぶちキレて、怒りは治まることなく、そのまま婚約破棄までいってしまいました。

 

残されたAさん。婚約破棄になった以上、家を建てる必要がありません。

ハウスメーカーに対して、工事請負契約を解除したいと伝えました。

当然ですが、既に工事は始まっているので、ハウスメーカーはAさんに着工金を返せるはずがありません。また、工事請負契約には、契約解除時には違約金を支払う内容も入っており、むしろハウスメーカーはAさんにお金を支払うよう要請しました(契約でそうなっている以上、当たり前です)。

そして銀行はどうするか。つなぎ融資は、最終的に家が完成したタイミングで、住宅ローンに切り替わります。でも、家が完成しないのであれば、期日までに自己資金で返済してもらうしかありません。

 

どうしようもなく、Aさんはお父さんからお金を借りて、ハウスメーカーには違約金を支払い、銀行にはつなぎ融資を返済しました。

結局、Aさんは残ったものは何か。お父さんへの借金だけです。

まぁ家族間の話なので借金自体はそこまで精神的には負担ではないのかもしれませんが、

少なくとも、つなぎ融資の間に銀行に支払った利息は、無駄なものになってしまいました。 

 

…おしまい(^^)/

※この話は、私が新人の銀行員時代にベテランの先輩から聞いた話であり、婚約破棄の理由については少し盛られている可能性があることをご容赦ください。 

 

 

皆さんはこの話、どう思うでしょうか? 

銀行にとっては、貸したお金をしっかり返してもらっただけで、何らマイナスにはなっていません(むしろ貰った利息分、銀行は儲かっています)。

でも、Aさんのケースは、たまたまお父さんがお金を持っていたから銀行に返済できただけで、もしそうでなかったら、、、、と思うと、とても怖い話だと思いませんか?

 

 

最後に、私がこの話を思い出して、改めて感じることを書いて終わります。

先日の投稿とも共通しているのですが、Aさんの場合、婚約段階で住宅ローンを借りようとしたのが、そもそもの間違えだったのではないかと思います。

憶測にはなりますが、、、、婚約段階ということは、家族計画(家庭毎のいつ・どれだけ子供を持つかという計画、ウィキペディアより引用)も、具体的には話し合えていなかったのではないかと。

もちろん、子供を持たないという計画にすることもあり得る訳で、そうなると、そもそも注文住宅の一軒家は必要なかったのかもしれません。

 

以上、住宅ローンにまつわる怖い話でした。では、また。

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