住宅ローンで買った家、、、なんで貸したらダメなの?

元銀行員のつぶやき

一言で言ってしまうと、

「そういう契約をしているから!」

となります。

 

住宅ローンを借りている方は、銀行と「金銭消費貸借契約証書」というものを契約していると思います。

銀行では、略して「金消」なんて言ったりしますが、この契約書の中で、住宅ローンで買った家は人に貸しません、ということを銀行に約束しています。

 

住宅ローンの金消を契約することにより、皆さんは銀行に対して、毎月返済することを約束します。

そして同時に、借りたお金は自宅の建築または購入に使います、ということもしっかりと約束しています。

「資金使途」という項目で金消には書かれていますが、ここには、「住宅建築資金」とか、「自宅用マンション購入資金」等が明記されているはずです(あるいは、ご自身で書いた覚えがあると思います)。

そうです、銀行は、返済方法と同じように、お金の使い道にもしっかりと条件を付けています。

 

銀行は、この「お金の使い道」を非常に重視しており、適用する金利も、この使い道によって変えています。

突然ですが、皆さんは、なぜ住宅ローンより、マイカーローンの金利の方が高いか考えたことはありますか?

確かに、住宅ローンは担保がある分、銀行にとっては有利です。

ただし、住宅ローンは35年と超長期間なのに対して、マイカーローンはせいぜい長くても8年程度です。

「住宅ローンより早く返すんだから、マイカーローンの金利もっと安くできないの?」という意見もあっても良さそうです。

 

ですが、マイカーローンの金利が、住宅ローンの金利並みに下がることはないでしょう。

なぜなら、マイカーローンの方が、住宅ローンよりも延滞されるリスクが高い、と銀行は考えているからです。

極端な例になりますが、

住宅ローンとマイカーローン、両方とも借りていて、しばらくの間、どちらか一方しか返済できないとしたら、皆さんはどちらを返済しますか?

きっと、大半の方が住宅ローンの返済を優先すると思います。なぜなら、住宅ローンの返済の延滞が続いた場合、最悪、自宅を失うことになることを皆さん知っているからです。

では、担保を取る点が共通している、住宅ローンとアパートローンではどうでしょうか?

やはり、多くの方は、失うとしたら、自宅よりも、人に貸しているアパートやマンションを失うことを選ぶと思います。

要は、数あるローンの中で、『住宅ローンの返済が最も優先される=住宅ローンは延滞リスクが小さい』という考えを持っているため、銀行は住宅ローンの金利を安くしています。

 

なので、銀行にとっては、延滞リスクが小さいはずの住宅ローンを貸したのに、それで買った家に自分が住まずに人に貸していたら、それは話が違う(それじゃあアパートローンになるのでそもそも金利が違う)となります。

そして資金使途は契約の一部なので、当然、契約違反・条件違反、ということになります。

 

更に、住宅ローンの金消では、『万一、資金使途違反して家を人に貸したら、ほかの融資商品(アパートローン)に切り替えされてしまうこと』も皆さん約束しています。

金消の裏面の文字がびっちり書いてある条文の中に、『融資対象物件の使途の変更』という項目があるはずです。

大体どこの銀行も同じだと思いますが、そこには、下記のようなことが記載されていて(敢えて噛み砕いた表現にしています)、金消に署名したことにより、皆さんはこれに承諾していることになります。

  • もし、家を人に貸すことになったら銀行に届出します
  • 銀行が指定する融資商品に切替します
  • 切替により、金利が上がったり、団信が適用されなくなったり、住宅ローン減税が受けられなくなっても構いません

ご覧いただいた通り、皆さんにとって、融資商品の切り替えはメリットは無いと思います。

特に最近は、死亡保障以外も保障してくれるガン団信や三大疾病団信等がありますが、これらは住宅ローン専用の団信のはずですので、融資商品の切り替えによりそれは無効になってしまいます。

また、費用面でも負担が生じると思います。

住宅ローンをアパートローンに切り替えする変更契約書なんて、私は見たことがありません。

恐らく、どこの銀行もそんなもの用意していないはずです。

したがって、融資商品の切り替えとは、実務上は、新しくアパートローンを借りて、住宅ローンを返済することになると思います。

つまり、抵当権の設定費用や借入にかかる諸々の手数料が、再度必要になってしまいます。

場合によっては、健康状態が悪化していれば、アパートローン用の団信が通らず、その分、更に金利が上がるなり(団信無しは銀行にとってリスクが上がるので一般的には団信有りよりも金利は上がります)、最悪、アパートローンを借りられないケースも想定されます。

 

 

銀行は、延滞リスクの小さい『住宅ローン』だからこそ、特別な金利を用意しています。

なので、それを悪用された場合、相応のペナルティを与えられるような条文をしっかりと金消に記載しています。

 

私も友人から、「不動産業者の方から、金利が安いうちに住宅ローンでマンション買っといて、もし結婚して手狭になったら人に貸せば良いなんて勧められてるんだけど…」なんて相談をされたことがありますが、全力で止めました。

 

正直に言うと、

人に貸していることが、銀行に必ずバレるか、と言われると、私の経験上、絶対にバレるとは言い切れません。

ですが、バレた時のデメリットを考えると、やはり、住宅ローンで買った家を人に貸すのは、賢い選択だとは思いません。

 

また、悪意をもって、住宅ローンで買った家を人に貸している方には、真に住宅ローンを必要としている方にも悪影響を与えていることを知って欲しいです。

どういうことかと言うと、

一時期、悪い不動産業者が、独身者をターゲットにして、住宅ローンで賃貸用マンションを買わせる手口が広まりました。

 

その結果、(これは私が銀行が退職する時もそうだったので、今もそうだと思いますが)、独身者というだけで、住宅ローンの審査が非常に厳しくなりました。

「なんで独身なのに家買うの?」「本当は人に貸すんじゃないの?」

本部が疑うのも分かります。

ですが、一方で、これまでのお会いした方には、本当に生涯を独身で過ごそうと決めて終の棲家を購入したい方や、法的には婚姻関係が認められないLGBTの方もいらっしゃいました。

そういう方々の力になれなかったことは、心残りとしてありますし、少なからず、故意に住宅ローンを悪用した方やそれを勧めた不動産業者を恨む気持ちもあります。

なので、皆さんには、住宅ローンを悪用しないよう、是非お願いしたいです。

※ちなみに、最近は、多くの銀行がLGBTの方向けの住宅ローンを用意しているので、それは良いことだと思っています!

 

 

この記事が、少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。

また、どなたかは分かりませんが、久しぶりにログインしたら、「PV:1」となっていました。

見てくださった方がいて感激です。この場を借りて感謝させてください、ありがとうございます。

嬉しい出来事が、一つ増えました。

その方のお役に立ったかどうかは分かりませんが、これからも、投稿を続けていこうと思います。

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