上記に対する私の回答は、
「自宅に必要な間取りが固まっているなら、今!」
です。
私の銀行員時代の経験を踏まえて、その理由を説明します。
ある日、新婚のご夫婦が銀行に来店されました。
注文住宅を購入予定で、そのための住宅ローンのご相談です。
二階建てで、二階には子供部屋を2つ用意するそうです。
ここまでで、皆さんは違和感ありますか?
結構、ありえる話のように聞こえると思います。
でも、私はこのご夫婦に、もう少し、住宅購入を先送りにしてはどうかと助言しました。
その理由は、「自己資金が少ないからもうちょっと貯めた方が良い」とか、「もっと土地の値段が下がってからの方が良い」などではありません。
ご夫婦がこれから築く家庭の人数や事情が、まだ分からないからです。
もしも、子供を授かれなかった場合、子供を3人授かった場合(2人目が双子のケース等)など、
自宅に必要な部屋の数などの間取りが、家を建てたあと、僅か数年の間に変わってしまう可能性があるからです。
これを見て、「銀行員がそんなことまで口出しするな」とか「お前には関係無い話だろう」と思われる方もいると思います。
実際に、このご夫婦も、「え?」という顔をされていました。
また、どうでも良い話ですが、ご夫婦が帰られてから、後ろの席に座っていた上司から「余計なこと言うな」と怒られもしました。。。
確かに、私が言っているのは『たられば』の話です。
不確定な将来のことを気にしても仕方がない、キリが無い、というご意見も分かります。
でも、実際に、世の中には不妊治療を受けている方はいらっしゃいますし、双子ちゃんも三つ子ちゃんもいます。
そして、家族が何人になるか、というのは、10年20年待たないと分からないというものでは無いと思います。
であれば、自宅に住む人数が確定するまでの数年程度は、賃貸に住んでも良いのでは?というのが私の意見です。
私はこの意見を、兄や友人にも言いました。みんな、嫌な顔をします。
でも、これからも、言い続けると思います。
それには理由があります。
銀行員時代、住宅ローンの条件変更(毎月返済額の減額)の相談を受けたお客さまが、まさしく、二階建てで子供部屋が2つある家に、ご夫婦二人で住んでいたからです。
子供が既に独立した訳ではありません。
残念ながら、子供を授かることができなかったそうです。
そのお客さまがおっしゃった言葉が今でも忘れられません。
「今更だけど、こんな広い家、要らなかったんだよね。だって二階使ってないんだもん」
です。
「住宅ローンの借入額がもっと少なくて済んだかもしれない」、あるいは、
「そもそも住宅ローンを借りる必要は無かったかもしれない(賃貸に住み続けることでも良かったかもしれない)」
という意味だと私は感じました。
そんな家売ればよいのに、と思うかもしれませんが、
残念ながら、都内の一部を除き、日本の地価は下がり続けています。そして、中古の建物に価値はほぼありません。
自宅を売却して住宅ローンを完済できるケースは、限りなくゼロに近いと思います。
※この辺は、最近色んな方が「購入派VS賃貸派」という話題で挙げていると思います
「金利が低いから」とか、「お買い得なマンションが近くに出来たから」とか、「ハウスメーカーの営業マンが決算月で特別安くしてくれるから」とか、
家に住む人数が固まっていないにも関わらず、
そういう理由だけで、住宅ローンを借りて後悔しないでしょうか?
住宅ローンを借りるタイミングは、金利とか家の値段とか、外部の要因で決めるべきではありません。
この記事が、少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。
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