タイトルに対する回答ですが、、、
「あぁ、この人、本気じゃないな…」
と思われる可能性のある発言はすべてNGです!!
具体的には、下記のような感じです。分かりやすいようにQ&A形式で書いています(Qが銀行からの質問、AがNG回答例です)。
Q1:どうして当行(うちの銀行)に相談を?
⇒A1:ほかの銀行で断れたので、次に家から近い御行に来ました!
Q2:投資予定の物件は見に行きましたか?
⇒A2:いいえ、物件は見てません!
Q3:自己資金は投入されますか?
⇒A3:フルローンでお願いします!
Q4:空室になった場合のリスクはどうお考えですか?
⇒A4:家賃保証がついているので大丈夫です!
Q5:投資される物件は、自宅からも勤務先から離れているようですが、どうしてこのエリアの物件を?
⇒A5:不動産業者さんに勧められたので!
細かい例を挙げればキリがないですが、少なくとも上記ような回答をしてしまった場合には、最悪、電話口で断られても仕方がないかなぁと思います。
不動産投資は事業です。
不動産投資をされる方は、本業が会社員であっても、不動産事業を営む経営者となります。
そして経営者であれば、事業を開始するための入念な準備、判断、リスク管理を行う必要があります。
上記のNG回答例には、そういう経営者としての姿勢なり、覚悟みたいなものが見受けられません。
それでは、銀行に相手にされるのは難しいです。
ただでさえ人口が減少している中、スルガ銀行さんの問題もあってから、銀行は不動産融資にはかなり消極的です。
ぶっちゃけ、「基本的に断る姿勢で」という暗黙のルールを設けている銀行なり、支店もあると思います(笑)。
そういう銀行から融資を引っ張るには、経営者としての本気度を見せないと、審査の土台に乗る(銀行に融資案件として正式に取り扱ってもらう)ことすら難しいのが今の状況です。
一つずつ解説していきます。
A1の「ほかの銀行に断られたので…」について。
上記のとおり、基本的に銀行は不動産融資に消極的です。そんな銀行が、余所の銀行で断れた案件に対して、前向きになるはずがありません。
ただし、銀行は「なぜうちに相談を?」系の質問は必ずします。
もちろん、既に一棟目の物件の融資を受けている銀行に二棟目の相談をするのであれば別ですが、一棟目の物件の場合には、ほぼ100%聞かれると思っておいた方が良いです。
そして本当に既に断られたのであれば、「別の銀行に断れた理由」を踏まえて、「今回この銀行に相談する理由」をしっかり回答する必要があります。
例えば、『最初は預金取引のある信金に行ったのですが、物件がその信金のエリア外らしく、断られました。なので、信金よりも店舗網が広い御行に来ました。』という回答であれば、まだ弱いものの、納得感はあります。
ただし、「それなら隣の銀行さんも店舗網は広いですよ」ぐらいのことを銀行から言われる可能性もあります(笑)。
「商売する気ないのか(不動産融資をする気ないのか)!?」と思われるかもしれませんが、今は、それぐらい覚悟して、本当に聞かれたときには何と答えるか、きちんと考えて臨んだ方が良いタイミングだと思います。
ちなみに、もちろん嘘はダメですよ。
A2の「物件は見てません」について。
これはもう、論外ですね(^^)/
不動産業者なり、誰かに勧められるがまま、不動産投資を始めようとしている人がしがちな回答です。
ネットで数千円の物を買うのとは訳が違います。
何千万円とする物件を買うために、何十年のローンを借りようとしている人が、その買おうとしている物件も見ずに銀行に相談に行っても、相手にはされません。
銀行は不動産融資をする場合、必ず物件を見に行ったうえで、不動産の価値を評価します。借主が見てもない物件を、銀行がコストをかけて見に行くはずがありませんよ。
本気度を見せるのであれば、むしろ、銀行が物件に対してネガティブに思いそうな点について、先に説明すべきです。
例えば、
『先月休暇をとって物件を見てきました。〇〇大学の学生をターゲットにしている物件です。実際に歩くと大学までは少し距離があるのですが、自転車であれば十分近いですし、通り道にコンビニもスーパーもあるので、学生には住みやすい環境だと思います。家賃は少し高めですが、近隣には、この物件と同じ間取りの築浅物件(比較的新しい物件)が無いので、入居率も高い状態を維持できているようです。』
ぐらいのことは、説明できる状態で臨むべきだと思います。
A3の「フルローンで…」について。
新しく事業を開始するにあたって、一切、自分のお金を出さないなんて有り得ません。
自分ではリスクを負いたくないように見えてしまうのと、もし、本当に自己資金が無いのであれば、
「え?昨日今日の思い付きで不動産投資始めるの?」と言われて終わりです。
本気で不動産投資を始める人であれば、そのための準備をしてきたはずです。
それには、当然、自己資金を貯めることも含まれます。
経験則として、一棟目でフルローンは、確実に審査は通りません。それこそ、融資案件として受け付けてもらえる可能性はゼロだと思った方が良いです。
可能であれば2割、最低でも1割の自己資金ぐらいは投入しないと、難しいと思います。
こういうことを言うと、よく案件の持込業者さんに「1億円の物件なら2千万円も自己資金必要じゃない!そんな人いないよ!」と怒られましたが、
「いやいや、普通の会社員に1億円の物件なんて勧めんなよ!!」と心の中で言ってました(笑)。
A4の「家賃保証があるから…」について。
空室リスクが無い賃貸物件なんてありません!
もう多くの方がご存じですが、家賃保証契約は見直しが可能です。それに頼った不動産投資は絶対に避けるべきです。
万が一、家賃保証している会社が、「近隣の家賃相場が●●万円になったので、この物件の家賃保証額もそれに合わせて引き下げしますね~」と言ってきたらそれで終わりです。だって、ローンの返済額は変わりませんからね。
事業である以上、必ずリスクがあります。不動産投資の場合、その最たるものが空室リスクです。
本気であれば、ここにも経営者として対応策を考えるべきです。そして、それを銀行に説明すべきです。
銀行は、仮に今の入居率が100%(空室率が0%)であっても、審査時、必ず空室率を設定して判断します。もし空室率が20%になったら返済できるのか、30%ならどうだという感じでシミュレーションを行う感じです。
本気度を見せるのであれば、
『私の計算では、入居率が70%を切ったら、家賃収入だけでは返済は難しいと考えています。ただし、会社員としての年収が●●百万円あるので、月々●●万円程度であれば補填できます。入居率を上げるためにリフォームが必要であれば、その時は預金を取り崩すか、最悪、生命保険を解約すればリフォーム代は何とか対応できます』
ぐらいのことは説明すべきです。
A5の「不動産業者さんに勧められたので」について。
これは何がダメかと言うと、その物件を定期的に、生活の中で見に行く機会が借主に無いからです。
私が銀行を辞める前ですが、よく東京在住の方が、地方の賃貸物件を取得したいと相談がありました。
東京の物件は高くなりすぎて利回りが低く、地方の物件であればまだ高い利回りが期待できるからです。
ですが、こういう案件も銀行は嫌います。
不動産投資は、始めてからも重要です。定期的に入居者募集も必要でしょうし、修繕も必要です。近隣の家賃相場を睨みながら、必要に応じて家賃の見直しも考えていく必要だってあります。
もちろん、これらは不動産管理会社に委託することも可能だとは思います。
ですが、その不動産管理会社だって、1年間まったく顔も出さない遠方のオーナーの物件と、常に情報交換を求めるご近所の熱心な(時には手土産を持ってきたりする)オーナーの物件であれば、どちらの物件を優先的に入居者に勧めるでしょうか?
縁もゆかりもないエリアの物件を買っても、その後苦労するだけです。そして、銀行には、そんな失敗例が蓄積されています。
ちなみに、私の経験の中では、『妻の実家の近くで、1年間に最低でも2回はこの(物件のある)地域に行きます』という案件は、OKが出たことはあります。
以上、長くなりましたが、アパートローンを借りたいときのNG回答例でした。
結構、いやいや、「こんな回答できないよ」「無理難題じゃん」、というものもあったかもしれません。
ですが、元銀行員として言わしてもらうと、そんなもんです(笑)。
それぐらい、不動産融資はいま難しい、ということだと思っていただければ良いのかなと。
なぜなら、銀行はいま、不動産融資をやりたく無いからです!(^^)!
ですが、一切しないという訳ではありません。
スルガ銀行の問題があった後でも、新たに不動産投資を始めるという方に、融資した経験は私もあります。
それは、今まで回答例として書いてきたような『不動産投資に本気で取り組もう』としている方々です。
ちなみに、住宅ローンと異なり、アパートローンの場合、借主は、借入後も定期的に確定申告書等を銀行に提出していくことになります。
2棟目3棟目を狙うのであれば、ここでも、本気度を見せる必要がありますので、その点は、また次回書きたいと思います。
この記事が、少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。
それでは、また。
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