これは銀行によって判断が分かれるかもしれないので、断言はできないですが、
「貸す理由が納得できるものであれば、アパートローンに切り替えられることなく、銀行に容認してもらえる」
可能性が高いと思います。
どういうことか、私の経験を踏まえて解説します。
ある日、先輩が住宅ローンを借りているAさんに連絡を取ろうと電話しました。
が、何度かけても出ません。
銀行の電話番号なんて登録している方は珍しいと思いますし、ましてや、延滞中でもなければ、お客さん側に用事は無いし、日中は忙しいと思いますので、まぁ出てもらえないことはよくあります。
確かこのとき、先輩もセールスのための電話だったので、電話に出ないことを特に気にも留めなかったはずです。
そして何日か経ったある日、、、律儀に、Aさんの方から電話をかけてくれました。
先輩は喜んでセールスするも、あっさりと撃沈ww。
実はAさんはAさんで、銀行に相談があって電話をかけてきていました。
その相談内容こそが、「しばらくの間、自宅を人に貸したい」というものでした。
ざっくりまとめると、こんな感じの相談です。
- 仕事の都合で、何年間か海外に赴任することになった
- 奥さんと子供も一緒に海外に連れていく
- その間、自宅を空けることになるが、日本に戻るまでで良いので、自宅を借りたいといってくれている人がいる
- その人は知らない人ではないし、何年間も自宅を空けておくよりは、その人に貸した方が安心できる
- 誰かに住んでもらった方が、家も傷まないだろう
- ついては、自宅を人に貸したいけど、いいかな?
Aさんは、銀行にわざわざ連絡する必要もないかな?と本当は思っていたそうなんですが、迷っているタイミングで先輩が電話をかけてきたので、これはちょうど良い、と思って電話したそうです。
さて、Aさんの相談ですが、結果から先に言うと、認められることになりました。
「銀行も、保証会社も、Aさんがしばらくの間、自宅を人に貸すことを容認する」という結論に至りました。
Aさんの相談が認められた際の、銀行での判断のポイントは下記です。
- Aさんは、住宅ローン実行時の条件をすべて守っている(給与振込口座の指定や、固定資産税の口座振替での支払い等)
- Aさんの勤務先は、確かに海外に拠点がある会社である
- Aさんも、Aさんの奥さんの実家も遠方である
- Aさんが、自宅を人に貸す期間は限定的(Aさんが海外赴任している間だけ)
噛み砕いて言い換えると、こんな感じでしょうか。
- Aさんには約束を守ってきた実績がある
- Aさんの仕事上、海外赴任は仕方がない
- 海外赴任の間、自宅をメンテナンス・管理する人が近くにいない(実家は遠方で、例えば、Aさんの家に万一火災が起きてもすぐには気付けない)
- Aさんは、ずっと自宅を人に貸す予定はない
要は、Aさんは信頼できる人で、Aさんが自宅を人に貸す理由は納得できて、あくまでもその期間は限られているから、
認めてもいいよね、という判断を銀行はしました。
加えて、Aさんは本部からの質問事項にもきちんと受け答えされていたので、その点もポイントとしてあったかもしれません。
例えば、「海外赴任の間、一切帰国しないということは無いと思いますが、その間はどこに住むのですか?」という質問には、
『帰国するとしたら盆や正月だと思うので、実家に世話になろうかなと。もし自宅付近に用事ができたときには(子供が友達に会いたいと言った場合等)、短い間なら家族でホテルに泊まろうと思います」と、まぁこんな感じだったそうです。
後日、(この辺が銀行らしいと思われるかもしれませんが)Aさんからは「賃貸借契約書」の写しも貰い、無事にAさんは海外に行かれました。
その後、先輩も私も転勤してしまったので、Aさんが帰国後に本当に自宅に戻ったか、までは分かりません。
ですが、大体どこの銀行もそうだと思いますが、イレギュラーな対応をした場合、そのイレギュラーな状態が解消するまで管理するための書類なりシステムなりの管理ツールがあります。
今回のケースで言うと、賃貸借契約書の期限に合わせて、銀行はAさんに連絡を取り、帰国日は予定通りか、貸している人とトラブルなく自宅に戻れそうか等を確認する段取りに先輩はしていました。
推測にはなりますが、その後数年間、銀行としてAさんへの対応がが問題になった、という話は聞かなかったので、Aさんは予定どおり自宅に戻られたのではないかと思います。
前回記事で紹介したように、住宅ローンで買った家を人に貸した場合、銀行は、住宅ローンをアパートローンに切り替えすることができます。
ですが、銀行も杓子定規な対応しかしない訳ではありません。
確かに契約上は切り替えすることになっていますが、Aさんのように、経緯はどうあれ、きちんと銀行に事前に相談があった場合、銀行も無碍な対応はしません。
しかも、今回のAさんのように、貸す理由に納得感があるにも関わらず、「いや、契約に書いてあるんでダメです」とは、なかなか言えないです。
銀行は、契約(約束)違反を嫌います。
一方で、トラブルになることも同じくらい嫌います(笑)。
例えば今回のケース、Aさんの相談を断っていた場合、どうなっていたでしょうか?
Aさんは仕事の都合で止む無く海外に行き、その間、自宅を空けることは防犯上も良くありません。だから、期間限定で自宅を人に貸したい。そして、Aさんはこれまできちんと約束を守ってきた人。
それなのに、銀行は相手にしてくれない。
「じゃあ俺に会社に歯向かって海外に行くなっていうのか!?」「住宅ローン借りてたら単身赴任しかできないのか!?」と、こういう風に金融庁に言われたら、、、、きっと、お叱りを受けるのはうちの銀行だったのではないかと思います。
ということで、Aさんように、住宅ローンを人に貸す理由ができた場合は、正々堂々と、銀行にその理由含めて連絡すれば良いと思います。
勿論、ずっと貸します、とか、隣町に転勤します、とか、理由にならないものはNGですが、止むを得ない場合もあると思いますので、その時は、是非銀行に連絡してみてください。
ただし、念のため書きますが、嘘をつくのはダメですよ!!
加えて、事後報告ではなく、事前に報告することもポイントです。
それだけで、銀行の印象はグッと変わります。
銀行員も人なので、是非、うまく使ってください(^^)/
この記事が、少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。
では、また。
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